年金を受給しながら、「もう少しお小遣いを増やしたい」「社会とのつながりを持ちたい」と考えて、ブログ運営や短時間のパートにチャレンジするシニアが増えています。
しかし、実際にはブログだけで安定した収入を得るのは難しいもの。
そこで「もう少し収入が欲しいけど、年金が減るのは困る」と悩む方も多いのではないでしょうか。
現在は、シニア向けの柔軟な働き方が選べる時代。「週に数日だけ」「午前中のみ」など、体に無理のないペースで働くことも可能です。
本記事では、そんな方に向けて「年金を受け取りながら働く場合の注意点や制度」、「年金を減らさず働くための働き方」についてやさしく解説します。
- 在職老齢年金の基本
- 厚生年金加入が条件
- 年金+給与は51万円まで
- 働き方で減額回避も可能
「在職老齢年金制度」とは

「在職老齢年金」とは、65歳以上でも厚生年金に加入して働いている人が、一定の収入を超えると年金が一部減額される制度です。
ただし、すべての人が対象になるわけではありません。厚生年金に加入しているかどうかがカギとなります。
在職老齢年金のしくみをやさしく解説
次の5つすべてに該当すると、パート勤務でも厚生年金に加入し、在職老齢年金の対象になります。
条件 | 内容 |
---|---|
① 週の所定労働時間 | 20時間以上 |
② 月収 | 8.8万円以上 |
③ 雇用期間 | 2か月を超える見込み |
④ 企業規模 | 従業員数が51人以上(2024年10月以降~) |
この条件のどれか1つでも満たさない場合は、厚生年金の加入対象外となり、年金減額の心配は不要です。
厚生年金に加入している場合は「収入」に注意
厚生年金に加入している人は、給与と年金の合計額によっては年金が減額されることがあります。
年金(月額)+給与(月収)の合計が「51万円」(※2026年3月まで)を超えると、超えた分の1/2が年金からカットされます。
【例】年金15万円受給の場合
→給与36万円までなら年金は減額されません。
※ちなみに、この上限額「51万円」は、2026年4月からは「62万円」に引き上げられる予定です。
▼参考リンク
厚生労働省:令和7年度 年金制度改正法の概要(PDF)
働き方別|厚生年金加入の有無と減額リスク
働き方の例 | 厚生年金に加入 | 在職老齢年金の対象? |
---|---|---|
週3日、1日4時間 | 加入しない | 対象外(年金減額なし) |
週5日、フルタイム | 加入する | 対象(年金が減る可能性あり) |
週20時間以上・月収9万円 | 加入する | 対象(年金が減る可能性あり) |
いくらまでなら働いても年金は減らされない?
基本的に、「年金+給与=51万円以内」であれば、年金の減額はありません。
【目安一覧】
年金(月額) | 働いて得られる給与(月収)の上限 |
---|---|
15万円 | 36万円まで |
12万円 | 39万円まで |
10万円 | 41万円まで |
ダブルワークや副業も合算されるので注意
複数の仕事(パート+内職など)をしている場合は、すべての月収を合計して判断されます。
たとえば、A社で月10万円、B社で月15万円の収入があれば、合計で月25万円。
そこに年金額を加えて、51万円を超えるかどうかをチェックしましょう。
厚生年金に再加入するメリットとは?

再加入すると在職老齢年金の対象になりますが、将来の年金額に加算されるというメリットもあります。
「多少減っても、将来の年金が増えるならいい」と考える方には良い選択肢です。
さらに、健康保険にも同時加入するため、医療費の軽減や傷病手当金などの医療保障も充実します。
年金をもらいながら働く人の選択肢とは?

65歳以上で老齢年金を受給しながら働く場合、収入や保険のしくみをどうするかで迷う方は少なくありません。
働き方によって大きく2つの選択肢があります。
選択肢①:国保のままで働く(厚生年金に入らない)
- 企業の規模(従業員数50人未満)が小さい
- 週20時間未満や月収8.8万円未満に抑える
- 健康保険は引き続き「国民健康保険」に加入
- 年金の減額(在職老齢年金)の心配も少ない
選択肢②:厚生年金+健康保険に入って働く
- 条件を満たせば、企業が厚生年金+健康保険に自動加入
- 保険料は会社と折半で、自己負担は軽め
- 将来の加算年金(在職中の納付分)がもらえる
- 医療保障(高額療養費、傷病手当など)も充実
どちらが正解かは「働く目的」と「生活スタイル」次第
- 年金受給中だからといって、働いてはいけないわけではありません。
- 「収入を少し補いたい」「社会とのつながりを持ちたい」など、目的に応じて働き方を選ぶことが大切です。
- 「保険に入りたくない」ではなく、「保険に入らなくてもいい働き方をする」ことで調整が可能です。
年金に影響が出ない範囲で「副業にもチャレンジしたい」という方は、こちらの記事もどうぞ。

よくある質問(FAQ)
- 65歳を過ぎてからでも、パートや副業を始めることはできますか?
-
もちろん!できますよ。65歳を過ぎても、まだまだ現役で働いている方はたくさんいらっしゃいます。
- 年金をもらいながら働くと、年金が減ってしまうって本当ですか?
-
はい、残念ながら本当です。
在職老齢年金という制度があり、収入が増えると年金の一部が減額される場合があります。
ただし、働き方を工夫すれば、年金の減額を最小限に抑えることも可能です。
- 年金が減額されないためには、月にいくらまでなら稼いでいいのでしょうか?
-
2024年4月からは、年金と収入の合計が月額51万円を超えると、年金が減額される仕組みになっています。
でも、あきらめないで!パート収入を調整したり、経費をしっかり計上したりすることで、年金の減額を回避できる可能性もあります。
- パートとブログ、両方やると年金はガッツリ減っちゃうの?
-
いいえ、そんなことはありません!パート収入とブログ収入を合算して調整すれば、年金を満額もらいながら、副収入も得られますよ。
税金や社会保険についても考慮する必要があるので、税務署や年金事務所に相談してみるのがおすすめです。
- パート(週20時間未満)で働こうと思っていますが、年金は減らされますか?
-
「厚生年金に入らない働き方」なら、在職老齢年金の減額は関係ありません。
「自分のペースで無理なく働きたい」「年金を減らさずにお小遣いを増やしたい」といった方には、こうした働き方の調整が有効です。
- ブログで収入を得る場合、確定申告は必要ですか?
-
はい、ブログで得た収入も、一定額を超えると確定申告が必要です。
ブログ運営にかかる費用は経費として計上できますので、領収書はきちんと保管しておきましょう。
確定申告はちょっと面倒ですが、きちんと行うことで、税金を払いすぎたり、逆に税務署から指摘を受けたりするリスクを回避できます。
- 年金について、もっと詳しく知りたい場合はどうすればいいですか?
-
年金事務所や年金相談センターで、専門家にご相談されるのが一番です。
ご自身の年金の加入状況や、働き方に応じた年金額などを詳しく教えてもらえます。
インターネットで年金に関する情報を検索するのも良いですが、信頼できる情報源かどうかを見極めるようにしましょう。
まとめ|自分に合った働き方を無理なく選ぼう

「年金が減るのが心配で働けない」という方も、制度のしくみと上限額を知れば安心して働くことができます。
まずは、「年金定期便」や「ねんきんネット」で自分の年金額を確認。
そのうえで、週に数日だけのパートや、厚生年金に入らない範囲の働き方を検討してみましょう。
ブログ+パートという形のダブルワークも、無理のない方法としてオススメ
年金と上手に付き合いながら、あなたに合った働き方を見つけてくださいね。
さらに詳しく知りたい方へ
在職老齢年金や厚生年金の加入条件など、年金制度についてのより詳細な情報は、厚生労働省の公式ページで確認できます。
▼参考リンク